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第70回日本癌学会学術総会「シンポジウム22」
Posttranslational modifications in cancer biology and therapeutics
翻訳後修飾によるシグナル伝達制御とがん

開催日:2011年10月5日(水)14:30~17:00
会場:名古屋国際会議場 G会場(2号館211)
オーガナイザー:高橋雅英(名大・院医)、井上純一郎(東大・医科研)

報告

第70回日本癌学会学術総会が10月3-5日の日程で名古屋国際会議場において開催された。3日目の午後に本新学術領域の計画班員3名(井上純一郎、武川睦寛、高橋雅英)と海外演者1名(Dr. Tergaonkar, シンガポール)を含 む6名の演者にてシンポジウム「翻訳後修飾によるシグナル伝達とがん」を企画した。内容としては本領域の計画研究の柱であるNF-κB、MAPK、Aktシグナルにおける翻訳後修飾とがんとの関連に関する研究と公募演題からがん抑制遺伝子Rbシグナルに関する研究が発表された。シンポジウムは最終日の午後に行われたにも関わらず、200名前後の参加者があり、がん研究者の本領域への関心を高めることができたものと考える。本癌学会ではシンポジウムはすべて英語で行われ、国際化のさらなる推進が感じられた学会であった。

概要

時空間的に制御される細胞内シグナル伝達因子のさまざまな翻訳後修飾が細胞機能に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。シグナル伝達因子の修飾異常が癌をはじめとする多くの疾患の発症と密接に関連していることが証明されつつある。これらタンパク質修飾と疾患との関連については長い研究の歴史があるリン酸化に加え、近年ユビキチン化、SUMO化なども注目されつつあり、興味ある研究が展開されている。本シンポジウムでは6名の演者にNFκB, MAPK, AKT, RBタンパクの細胞増殖および癌化における機能が、その翻訳後修飾あるいは修飾因子の機能によりどのように制御されているかについて最新の知見を発表していただく。新たなタンパク質翻訳後修飾の発見とその機能修飾に関する研究は、今後の細胞癌化の分子メカニズムのさらなる理解と治療法の開発研究に重要な情報を提供できるものと考える。本研究課題は昨年度より文部科学省の新学術領域研究に採択されており(略称「修飾シグナル病」)、癌研究と密接に関連する分野として癌学会の多くの会員の参加を期待している。

プログラム

1. Vinay Tergaonkar(Inst. for Mol. & Cell Biol., Singapore)
New controls of the NF kappa B pathway
2. 井上 純一郎 (東大・医科研)
Critical roles of NF-κB activation in breast cancer development
3. 武川 睦寛 (名大・環境医研)
Regulation of ERK signaling and cell transformation by protein SUMOylation
4. 樋口 麻衣子 (東大・分生研)
Regulation and function of the proto-oncogene Akt
5. 高橋 雅英 (名大・院医)
Role of the Akt substrate Girdin in cell motility
6. Awad Shamma (金沢大・がん研)
DNMT1 links DNA damage response and cellular senescence during Rb-deficient tumorigenesis

当日の様子