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国際研究集会「がん細胞の数理科学」- Mathematical Methods in Cancer Cell Biology-が2011年6月8日, 9日に広島大学医学部において開催されました。
この会議には,市川一寿先生,渡部綾子,大島大輔の3名で参加しました。本会では,がんの数理細胞生物学の研究を連携して推進することを目的に,がんの細胞生物学から数理的手法を用いたがんの組織診断法まで幅広く発表が行われました。国内から東大医科研の清木元治先生,村上義則先生,大阪大学の鈴木貴先生,広島大学の安井弥先生などがん研究者,数学者の方々が,また国外からVanderbilt University Medical CenterのVito Quaranta先生,Alissa Weaver先生ら目的を同じくする研究者を招いて発表が行われました。
市川先生は,がん細胞のECM分解についてMT1-MMPの継続的な供給が必須であることを示すシミュレーション結果を報告しました。またQuaranta先生は小分子化合物によるがんの標的治療の有効性について,実験とシミュレーションの観点から報告されました。発表内容も興味深いものばかりでしたが,異分野の研究者から活発な質疑が目立ったことが印象的でした。
夜には,懇親会が開催されました。会は終始,和やかな雰囲気でした。Quaranta先生から感謝の気持ちを込めて鈴木先生と市川先生にカウボーイハットがプレゼントされました。懇親会では,これまで出会う機会の少なかった物理・数学など異分野の研究者たちと交流することができました。彼らとの対話を通じて,生命現象に対する多様な捉え方や,がんに対するアプローチの違いがあることを知ることができ,たいへん勉強になりました。それぞれ違いがあることを認識した上で,より良い研究の連携と発展を目指そうという強い意気込みが感じられました。
大島大輔 記
昨晩の雨もやみ、初夏の空が広がっていました。
午前中はChaplain先生, Stevens先生, Hwang先生による数学的要素の濃い発表が続きました。もともと免疫の実験を主としてきた私にとって数式が目の前をものすごいスピードで駆け抜けていってしまい、内容の理解は満足に出来ませんでしたが、唯一理解できたことは、体内で起こっている現象を数式で表そうとした時に、現象を忠実に再現するだけのモデルを作成するのか、現象の根幹を理解しメカニズムを踏まえて現象を再現するモデルを作成するのかでは、同一現象のモデルだとしても大いに違うということです。今後シミュレーションの論文を読むときに着目すべき点を一つ得ることができました。午後は医科学研究所の村上先生の腫瘍形成におけるCADM1タンパク質についての発表から始まり、広島大学の田原先生によるテロメアの話、大阪大学の中根先生によるがん細胞の病理診断プログラムの話など実験的な話から実用化へ向けた話など多岐に渡ったお話を聞くことができました。夕飯は明日のExcursionには参加せず帰られる先生方もいらっしゃることから、総勢15名で広島の名物をいただきました。広島といえばやっぱり“広島風お好み焼き”です。鉄板で次々と焼かれていくその光景は神奈川出身の私でさえも愉しく見入ってしまうのですが、外国からいらした方にはより興味深いようで、動画でその一部始終を撮っており、最後には「excellent!!」とのこと。とっても、楽しく美味しい時間でした。明日の天気が良いことを祈り、テルテル坊主を窓に張り付けて就寝しました・・・
昨晩の祈り届かず、曇り。予報では午後から雨だとか・・・
ホテルにて鈴木先生がお見送りしてくださり、Excursionに出発。人数に対して、大きなバスのため、悠々と席を使わせてもらいました。バスの中から広島城を見たのち、原爆ドームに到着。平和記念公園、原爆資料館・・全てが事実のみで構成されている場所であるからこその重みを感じました。宮島に移動し厳島神社へ。朱色の鳥居と青い空・・を見たかったのですが、小雨が降ったり止んだり。鹿に一度だけ鞄をかじられそうになりましたが、無事に広い神社を参拝し、揚げもみじまんじゅうや穴子を美味しく頂きました。
今回の研究会に参加させて頂いたことで、初めて飛び込んだシミュレーションの世界の多様性を知るきっかけを得ることができました。たくさんの方々のお話を聞き、今は頂いたエネルギーをしっかりとため、新しい分野での大きなジャンプをするための力と変えたいと思います。
厳島神社 客社祓殿正面にて
参加メンバーの集合写真(後列左4番目市川先生、前列左3番目渡部)
渡部綾子記