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第2回公開シンポジウムのご報告
~「修飾シグナル病」学術領域の新展開~

領域代表 井上純一郎

「修飾シグナル病」領域の第2回公開シンポジウムを先日(平成24年1月28日(土))東大医科研・講堂にて開催しました。今回は講演者として領域内から山岡昇司先生、尾山大明先生、遠藤剛先生、深田吉孝先生、木下英司先生の4名に加えて領域外から松田道行先生(京都大学)と楠見明弘先生(京都大学)に招待講演をお願いしました。シンポジウムの企画は昨年の第1回と同様山岡昇司先生と高橋雅英先生が担当されましたが、招待講演の演者の先生を決定するにあたり、「翻訳後修飾とシグナル伝達の解析に必要な最先端技術の中で講演として取り上げて欲しい技術は何か?そして、その技術に関して講演をお聴きたい領域内外の研究者は?」ということで班員にアンケートをとることになりました。その結果、シンポジウムのセッション2でイメージング技術を特集し、講演者として領域外から松田先生、楠見先生、領域内から木下先生にお願いすることになりました。セッション1については、総括班員間で話合い、まとまった成果を上げておられる班員の中から上記4名の先生にご講演をお願いしました。


会場の医科研講堂前に掲示されたポスター

 まずは、恒例により領域長である井上が領域の概要と活動について簡単に説明し、その後セッション1に移りました。プログラムは以下の通りです。

<セッション1>
13:10~15:10
山岡 昇司 先生(東京医科歯科大学)
IKK複合体制御因子の癌細胞における役割
尾山 大明 先生(東京大学)
高精度定量プロテオミクスによるシグナル伝達ネットワークのシステム解析
遠藤  剛 先生(千葉大学)
IGF-1 シグナリングによる筋原線維形成の制御とその破綻による筋疾患
深田 吉孝 先生(東京大学)
一日の時刻を刻む修飾シグナリング
コーヒーブレイク
<セッション2>
15:30~17:30
特別講演1:松田 道行 先生(京都大学)
細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング
特別講演2:楠見 明弘 先生(京都大学)
動的ラフトを作る基本ユニットとシグナル変換促進機構:1分子イメージングによる研究
木下 英司 先生(広島大学)
Phos-tagを用いたタンパク質リン酸化修飾の高感度検出

 松田先生は、シグナル伝達の時空間的挙動をとらえる技術基盤の開発、しかもin vivoでの解析を可能にするシステムについてもお話されましたが、まさに今後のシグナル伝達研究に欠くことの出来ない実験系であると思われます。また、系の開発に並々ならぬご苦労と工夫をされたお話は、最近の学生さんには大変参考になったのではないかと思います。
 楠見先生は、膜型受容体の挙動を1分子の可視化により解析し、従来のラフトの概念を塗り替える大変興味深いお話をされました。多くの人が何気なく信じている事がきちんとした技術を持って調べてみると実はそうでないことがあるという教訓とともに、先生のアイデアの豊富さに驚かせられました。このような領域で世界の最先端を走っておられるお二人の講演をお聴きし、まさに「目から鱗」大変感銘を受けました。私どもの班員の先生方にとっても今後の研究に大きく影響を与えると思います。お忙しい中、東京までいらしていただき本当にありがとうございます。その他の先生のご講演内容につきましても是非抄録集をご参照ください。
 100名を超える参加者に加えて、活発な質疑応答でシンポジウムが盛り上がったことは、私にとって何よりも嬉しいことです。最後に総括班の武川睦寛先生にシンポジウム全体のまとめをしていただき、場所を白金ホールに移し、ポスター発表による研究交流会を開催しました。


山岡昇司先生

尾山大明先生

遠藤剛先生

深田吉孝先生

松田道行先生

楠見明弘先生

木下英司先生

100名越える聴講者で盛り上がったシンポジウム会場。
2階席も使用させていただきました。

 

<研究交流会> 18:00~20:00

研究交流会は各班の若手の方にポスター発表をしていただき、単なる情報交換だけでなく、討論を経験することで研究者として成長していただくのが狙いです。所謂、若手育成ですね。今回は、38演題で軽食をつまみながら、活発な討論が続きました。昨年7月の交流会同様予定の終了時間になっても討論が一向に下火にならないので、本当に心苦しかったのですが、領域長として泣く泣くポスターの撤収をお願いした次第です。前回も思いましたが、この盛り上がりを抑えるなど領域長のすべきことではないですね。幸い今夏どこか泊まりがけで若手ワークショップを開催する予定です。しかも企画を若手にお任せしています。とてもこの夏が楽しみです。その模様は領域HPでご報告しますので、ご期待ください。
 最後に、ご講演いただいた演者の先生方、お忙しい中ご参加いたいだいた班員の先生方、そして領域外にも関わらず「修飾シグナル病」領域のシンポジウムに足を運んでくださった方々に心から御礼申し上げます。今後とも本領域をよろしくお願い致します。


討論で盛り上がる研究交流会