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第3回公開シンポジウムのご報告
~シグナル伝達解析技術と数理モデルの最先端~

領域代表 井上純一郎


会場の医科研講堂前に掲示されたポスター
「修飾シグナル病」領域の第3回公開シンポジウムを先日(平成26年1月25日(土))東大医科研・講堂にて開催しました。今回は講演者として領域内から佐々木純子先生、澤崎達也先生、大島大輔先生、久保田裕行先生の4名にご講演いただき、領域外から上野匡先生(東京大学)、今村健志先生(愛媛大学)、岡田眞里子先生(理研)に特別講演をお願いしました。シンポジウムの企画は第1回、第2回と同様、総括班の山岡昇司先生と高橋雅英先生が担当されましたが、今回は、異分野連携をモットーとする当領域らしくシグナル伝達研究にブレイクスルーをもたらす最先端でユニークな解析方法、技術を特集していただきました。特にセッション2は数理モデル3題連続で構成されています。
まずは、恒例により領域長である井上が簡単な挨拶をし、その後セッション1に移りました。プログラムは以下の通りです。

13:10-15:30 セッション1 シグナル伝達解析技術
座長:山岡 昇司(東京医科歯科大学)、高橋 雅英(名古屋大学)
13:10-13:40 質量分析法によるホスホイノシタイドの解析
佐々木純子(秋田大学大学院医学系研究科 微生物学講座)
13:40-14:10 コムギ無細胞プロテインアレイを用いたシグナル伝達解析技術
澤崎 達也(愛媛大学プロテオサイエンスセンター 無細胞生命科学部門)
14:10-14:50 【特別講演】機能性化合物を鍵とする細胞機能の制御
上野  匡(東京大学大学院薬学系研究科 薬品代謝化学教室)
14:50-15:30 【特別講演】生体光イメージング技術が拓く次世代がん・シグナル伝達研究
今村 健志(愛媛大学大学院医学系研究科 分子病態医学分野)
佐々木純子先生 澤崎達也先生 上野匡先生 今村健志先生
       
休憩(15:30~15:50)
 
15:50-17:30 セッション2 数理モデル
座長:尾山 大明(東京大学)、市川 一寿(東京大学)
15:50-16:20 タンパク質の核膜輸送や拡散による転写因子NF-κB活性制御の可能性
大島 大輔(東京大学医科学研究所 腫瘍数理分野)
16:20-16:50 インスリンの時間パターンによる選択的制御
久保田浩行(東京大学大学院理学系研究科 生物化学専攻)
16:50-17:30 【特別講演】シグナル伝達のダイナミクスと転写のオン・オフ制御
岡田眞里子(理化学研究所 統合生命医科学研究センター)
 
大島大輔先生 久保田浩行先生 岡田眞里子先生  

 


上野先生は、化合物を用いて特定のタンパク質の細胞内局在を操作することで特定のシグナル伝達経路を人為的かつ迅速にON/OFFさせるシステムを紹介されました。人為的なシグナル操作は、まさに今後のシグナル伝達研究に欠くことの出来ない実験系です。上野先生のご講演を聴いた多くの方が自分の研究への応用を考えたのではないかと思いました。今村先生は、生きた個体におけるイメージングの重要性を二光子顕微鏡を駆使した画像を用いて実証してくださいました。生体深部のイメージング技術の進展によりこれまで知ることができなかった生命現象に遭遇するのではとワクワクさせられてしまいました。岡田先生は、B細胞受容体シグナルにおけるNF-κB活性化の正のフィードバック制御と転写因子のオン/オフ制御についての関係をモデル化し、見事に説明してくださいました。NF-κBフリークである私にとってまさに至上の喜びです。それぞれの領域で世界の最先端を走っておられる三人の先生の特別講演をお聴きし、まさに「目から鱗」大変な感銘を受けました。修飾シグナル病の先生方の今後の研究に大きな影響を与えると思います。当領域の先生方のご講演内容につきましては、佐々木先生が独自に開発されたPIPsの高感度定量法とその応用について、澤崎先生が無細胞プロテインアレイのシグナル研究への応用について、大島先生がNF-κBシグナルの3Dシミュレーションについて、そして久保田先生が血中インシュリンの時間変化に対する細胞応答のシミュレーションについてお話されました。詳しくは是非抄録集(PDF2.9MB)をご参照ください。
本年も100名を超える参加者に加えて、活発な質疑応答でシンポジウムが盛り上がったことは、私にとって何よりも嬉しいことです。最後に総括班の武川睦寛先生にシンポジウム全体のまとめをしていただき、場所を白金ホールに移し、ポスター発表による研究交流会を開催しました。


2階席も含め、100名越える聴講者で盛り上がったシンポジウムでの会場

<研究交流会> 18:00~20:00

この研究交流会は修飾シグナル病領域の目玉イベントです。若手の方にポスター発表をしていただき、単なる情報交換だけでなく、討論を経験することで研究者として成長していただくのが狙いです。今回は、32演題で食事と少量のアルコールで、討論が大変盛り上がりました。いつも交流会のときはそうなのですが、終了予定時間になっても討論が一向に下火にならないので、本当に心苦しかったのですが、仕方なくポスターの撤収をお願いした次第です。来年度も若手ワークショップを開催する予定ですので、そこでとことんディスカッションしてください。
最後に、演者の先生方、お忙しい中ご参加いたいだいた班員の先生方、そして領域外にも関わらず「修飾シグナル病」領域のシンポジウムに足を運んでくださった方々に心から御礼申し上げます。本領域もあと1年余りになりましたが、今後ともよろしくお願い致します。


討論で盛り上がる研究交流会


当領域HPにある論文紹介サイトに1年間に16回投稿した大島大輔博士に賞状と賞品が授与されました。ちなみに投稿回数2位は3回で、私の研究室全体の投稿数は17回です。いかに大島先生の投稿数が多いかがわかりますね。年間最多投稿者に高価な賞品が用意されますので、積極的な投稿をお願いします。投稿は以下のURLへ
http://shushoku-signal.jp

<翌日のフットサル>

今回は翌日、領域の有志と医科研の若手研究者とでフットサルを楽しみました。
場所は品川八潮団地にあるフットサル場です。幸い天気も穏やかで楽しむことができました。教授としての参加は私とE大のS先生でした。怪我もなく無事終了。機会があったらまた、蹴りましょう!


シンポジウム翌日、有志でフットサルを楽しみました。
ヒールキックのシュートでしょうか?とにかく怪我もなく無事終了!