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概要: NF-κBはIκBと結合して抑制状態にあるが,刺激依存的にIKKがIκBをリン酸化して分解を誘導する.そして,NF-κBは核内へと移行し転写する.NF-κBはIκBの転写も誘導するため,合成されたIκBがNF-κBと結合して核外へ追い出し,抑制状態を作る.この時,再度IKKの刺激が加わることで,NF-κBの核内外への移行が持続的に繰り返されて振動現象が見られることになる.
図1 NF-κBシグナル伝達
ポンチ絵とA-Cellモデル:NF-κBに関する数理モデル研究は多くあり,論文の数も多い.ここでは,簡略化したポンチ絵を図1に示す.NF-κBの振動全体を示したA-Cellモデルはこちら.図1にて,(A)- (E)で示した各部分について以下で解説する.
(A) 細胞質における各タンパク質の結合と解離 | このモデルでは最上流(刺激)をIKKとし,IκBα-NFκB複合体とのみ結合する.IKK-IκBα-NFκB複合体は速度定数r1にしたがってIκBαの分解とフリーのNF-κBが生じる.速度定数d1とd2はそれぞれ複合体が自然に分解する速度定数である. |
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(B) タンパク質の核内移行 | 細胞質の「NFκB」が核内の「n_NFκB」に速度定数k1にしたがって転換する.また核内移行するのは,単体のNFκBとIκBαのみである. |
(B’) タンパク質の核外移行 | 核外移行するのはIκBα-NFκB複合体のみで速度定数k2に依存する. |
(C) 核内におけるタンパク質の結合と解離 | 細胞質と同じ速度定数を用いて結合(a1)と解離(d1)を表す. |
(D) IkBaの転写 | IκBαのmRNA「t_IκBα」は恒常的な生成(上)とNF-κB依存的で濃度の2乗に比例する生成(下)の2通りがある. |
(E) IkBaのタンパク質合成 | 速度定数tr1にしたがって「t_IκBα」が「IκBα」に転換する. |
文献:Hoffmann, A., et al., Science, 2002, 298, 1241.
Ohshima, D., et al., PLoS ONE., 2012, 7(10): e46911.
概要:NF-κBはIκBと結合して抑制状態にあるが,刺激依存的にIKKがIκBをリン酸化して分解を誘導する.そして,NF-κBは核内へと移行し転写する.NF-κBはIκBの転写も誘導するため,合成されたIκBがNF-κBと結合して核外へ追い出し,抑制状態を作る.この時,再度IKKの刺激が加わることで,NF-κBの核内外への移行が持続的に繰り返されて振動現象が見られることになる.
図1 NF-κBシグナル伝達
ポンチ絵とA-Cellモデル:NF-κBに関する数理モデル研究は多くある.簡略化したポンチ絵を図1に示す.点モデルを扱った「【上級】転写因子NF-κBの振動のモデル」を基に,ここでは3次元球形モデルへ拡張する方法を紹介する.A-Cellモデルはこちら.
球形細胞モデルは図2に示すように,直径50μm(31コンパートメント)とする.また核は細胞の中央に直径13コンパートメントの球形とし,その表面を核膜とした.そして細胞質,核,核膜の各領域に対して「【上級】転写因子NF-κBの振動のモデル」の反応式を割り付ける.
図2 NF-κB振動の時空間モデル
1)細胞質領域 | 「細胞質における各タンパク質の結合と解離」の反応式 |
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2)核領域 | 「核内におけるタンパク質の結合と解離」と「IκBαの転写」,「mRNA分解」の反応式 |
3)核膜領域 | 「タンパク質の核内移行と核外移行」,「IκBαのタンパク質合成」の反応式と1),2)で割り付けた反応式すべて. |
文献:Ohshima, D., et al., PLoS ONE., 2012, 7(10): e46911.